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Channel: hiroyo's diary
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調和と対峙

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寒い日が続いていますが、皆さんお元気でしょうか。

1月生まれの私は、どちらかというと猛暑より、自然と思考にふけることができる冬が好きです。

年末年始に帰省した折、山の麓を散歩したのですが、ちょうど雪が降り始め、周囲の表情がみるみる変化していくさまを眺めることができました。アスファルトに降る雪と違って、草木の上に降る雪は何だかとても優しく、あたたかく感じられ、誰も足を踏み入れてはいけない神聖な場所に入ってしまったような感覚でした。写真を撮るのも忘れ、しばし立ちつくしていましたが、気づいたときにはすっかり雪化粧していました。

photo:01



日頃から”表現とは何か”を自身に問いかけている中で、自然界のあの音やあの風景をそのまま音で表現したいと思ったり、己を虚しくして作曲家のしもべとなり、偉大なるものと一体になりたいという願いが自分の中にとても強くありました。

でも、ライグラフ先生からある日、こんなことを言われたのを思い出します。

「お客様はショパンの音楽を聴きにコンサートへ行くのではなく、あなたのショパンを聴きに行くのですよ。」

そのときは、中にはその曲が聴きたいからコンサートへ行く人もいるんじゃないかなという程度にしか思っていませんでしたが、「なぜ作曲家がその音を書いたのか、あなたはなぜそう弾くのか?」と、常に ”なぜ Warum?” と、質問攻めだったレッスンを振り返ると、自分の主張を突きつけるような強さや説得力がまだまだ足りなかったなと改めて思います。

自然が生み出す音や現象そのものは、たとえ美しくとも音楽ではなく、そこから感じたことを自身の音で誰かに伝えることによって初めて音楽となります。

作曲家のメッセージとどう対峙し、どこまで深く読み取り、そして自分の思いを重ね合わせ、自らの言葉で語ることができるか・・・奏者は音楽を司る立場でもあるのですよね。

ぼんやりと感じるのではなく、意識をすることがいかに大切かを自分に言い聞かせながら、1月は調和と対峙というキーワードで日々新しいプログラムの練習を頑張っています。

****

ここで少し早めのお知らせです。

4月21日(日)15時より、パルテノン多摩小ホールにて、ソロリサイタルを行います。音楽ジャーナリストの岩野裕一氏のプレトークで始まるミュージックサロンシリーズVol.5です。

プログラムはバッハ:パルティータ1番、ブラームス:幻想曲集op.116、シューベルト:ピアノソナタ21番。

一般チケット3,000円は2月10日発売、アテナ会員2,500円は2月3日発売です。
チケット取り扱いなど、詳細は下記をご覧くださいませ。
http://www.parthenon.or.jp/music/1750.html


一人でも多くの方にご来聴いただければ大変嬉しいです。

どうぞよろしくお願い致します。

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